「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」(DC関連)に対する厚労省の回答(令和4~5年度)

「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」(DC関連)に対する厚生労働省の回答

内閣府サイトでは「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」で受け付けた提案及び所管省庁からの回答を掲載しています内閣府サイト「受け付けた提案及び所管省庁からの回答:「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」参照)
ここでは、DC関連の以下の要望とそれに対する回答をご紹介します(転載の際に表現を見直している場合があります)。
令和5年度の要望については、社会保障審議会企業年金・個人年金部会で検討中であることを理由に「検討を予定」と回答するケースが多くなっています。

 年度No.内容回答
4228確定拠出年金 「DC+DBの掛金合算管理」からiDeCoの掛金除外対応不可
231iDeCoの拠出限度額2.0万円⇒2.3万円検討を予定
5275DCの拠出限度額引上げ(撤廃)検討を予定
276企業型DC規約記載事項の簡素化検討を予定
279事業主掛金を上回る額のマッチング拠出検討を予定
(4年度232は「対応不可」)
6289DB実施企業のiDeCoプラス実施(中小事業主掛金の納付)検討を予定
7290令和6年12月以降のDBとの拠出限度額調整の見直し(経過措置継続要件の緩和)対応不可

令和3年度以前については「「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」に対する厚労省の回答(令和2~3年度)」参照。

1.確定拠出年金 「DC+DBの掛金合算管理」からiDeCoの掛金除外

要望(日本損害保険協会)

2024年12月に予定されるDC法改正の「DC+DB合算管理」において、DCの掛金額からiDeCoの掛金額を除外することを要望する。
2024年12月のDC法改正により「DCとDBの合算管理」が行われる予定だが、このDCの中にはiDeCoも含まれ、かつiDeCoには経過措置が適用されないこと、iDeCoの最低掛金額は月額5,000円であることから、iDeCoの掛金拠出が行えない加入者が発生することが考えられる。
22年度の法改正では、企業型DC加入者のiDeCo加入が年金規約の変更なしで可能になるなど、iDeCo加入を促進する法改正が行われる一方で、本改正によりiDeCoへの拠出、iDeCoを活用した将来資金の形成が出来なくなる第2号被保険者が発生する。
iDeCoは公的年金の補完及び個人の自助努力による老後の生活資金の安定形成を目的に促進されてきたものであり、DBの「他制度掛金相当額」の個人毎の算出、管理が困難な中では、「企業型DC+DB」のみを管理対象として、iDeCoは除外することが望ましいと考える。

回答

対応不可 。

企業年金に加入している方と加入していない方との公平性を確保しながら、私的年金制度全体で一定額の非課税限度額を設けております。
そのため、iDeCoの掛金額のみを拠出限度額管理の対象外とすることは、企業年金加入者のみをさらに税制上優遇することにもつながりかねず、公平性確保の観点から、困難です。

コメント

令和6年12月のDC拠出限度額改正「公務員やDB加入者のiDeCo(イデコ)拠出限度額の2万円への引き上げ(令和6年12月施行)」参照)に関連する要望です。
退職金由来の制度(DB・企業型DC)は管理対象から除くべきという意見はしばしば聞かれますが、この要望では逆にiDeCoを管理対象から除くよう求めています。
企業型DCと同様の経過措置の継続を要望しなかったのは実務上の理由でしょうか。

2.iDeCoの拠出限度額2.0万円⇒2.3万円

要望(日本損害保険協会)

iDeCoの拠出限度額について、第2号被保険者は企業年金の加入状況等に関わらず一律同額としたうえで、第2号被保険者と第3号被保険者についても一律同額(月額2.3万円に統一)とする。

回答

検討を予定。

2022年11月に新しい資本主義実現会議で決定された「資産所得倍増プラン」で、iDeCoの拠出限度額の引上げ等について2024年の公的年金の財政検証に併せて結論を得ることとされていることを踏まえ、検討します。

コメント

資産所得倍増プラン(「資産所得倍増プランにおけるiDeCo改革案」参照)の後に閣議決定された「令和5年度骨太の方針」においても「iDeCoの拠出限度額及び受給開始年齢の上限引上げについて2024年中に結論を得る」とされています(「令和5年度骨太の方針(閣議決定)における退職所得控除(勤続20年格差)・iDeCo拠出限度額・社会保険等の見直し方針」参照)。
2.0万円→2.3万円であれば、財政検証の直接的な影響を受けずに採用できるかもしれません。

3.確定拠出年金制度における拠出限度額の引上げまたは撤廃

要望(日本損害保険協会)

退職給付制度は企業の人事政策や財務状況によって決まるべきものであるが、拠出限度額があるために複数の制度を組み合わせた複雑な制度とせざるを得ない場合が生じており、制度の普及・推進の観点から、拠出限度額の撤廃またはさらなる引上げを要望する。
iDeCoについても、国民の高齢期の所得の確保を支援する観点から、拠出限度額のさらなる引上げを要望する。

回答

検討を予定。

確定拠出年金の拠出限度額のあり方については、社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論も踏まえて検討を進めているところであり、ご指摘の点も含めて引き続き検討します。

コメント

部会の議論は令和6年3月28日に公表された「社会保障審議会企業年金 ・個人年金部会における議論の中間整理」でも整理されています(「【令和6年】「社会保障審議会企業年金 ・個人年金部会における議論の中間整理」の公表と部会におけるDC改正の議論(第19回~第33回)」参照)。

4.企業型年金規約に記載する事項の簡素化

要望(日本損害保険協会)

企業型DC年金規約に記載すべき事項が多く、制度導入時および制度変更時における事業主、運営管理機関ともに負担が大きくなっていることから、事業主と運営管理機関との間の契約にかかるものは規約の記載事項から除外することを要望する。

回答

検討を予定。
企業型年金の規約変更時における手続きのあり方については、社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論も踏まえて検討を進めているところであり、ご指摘の点も含めて引き続き検討します。

コメント

規約は加入者への周知義務もあることから、規約記載事項については、加入者に周知すべき事項か否かという観点も考慮して整理することも考えられます。
具体的な内容については、実務に係る有識者が検討に加わることが重要でしょう。

5.企業型DCのマッチング拠出における事業主掛金上限の撤廃

要望(日本損害保険協会)

企業型DCにおける「加入者掛金の額は事業主掛金の額を上限」とする現行の規定を撤廃する。

回答

検討を予定。

企業年金は従業員の福祉の向上を図るものであり、退職給付としての性格を持つものでもあることから、事業主拠出が基本です。
このため、企業型確定拠出年金における加入者掛金(いわゆるマッチング拠出)については、事業主の掛金負担が従業員に転嫁されるようなことがないように、従業員が拠出できる掛金額は事業主が拠出する掛金額の範囲内とするとしているものです。
なお、マッチング拠出のあり方については、社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論も踏まえて検討を進めているところであり、ご指摘の点も含めて検討します。

コメント

令和4年度No.232では「対応不可」でしたが、今回はなお書きの理由で「検討を予定」とされました。
部会の議論は令和6年3月28日に公表された「社会保障審議会企業年金 ・個人年金部会における議論の中間整理」でも整理されていますが、これまでと同様に平行線です。

6.中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)の実施条件の見直し

要望(信託協会)

中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)の実施条件は「企業型年金及び確定給付企業年金を実施していない厚生年金適用事業所の事業主」とされているが、確定給付企業年金を実施している厚生年金適用事業所の事業主についてはiDeCo+の実施を可能とするよう要件を見直していただきたい。

回答

検討を予定。

中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)の要件について、令和2年改正法附帯決議及び私的年金制度の普及・促進の観点から、社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論も踏まえて検討を進めているところであり、ご指摘の点も含めて引き続き検討します。

コメント

iDeCo+の規制緩和では人数要件の緩和も検討されています。仮に人数要件のみが緩和された場合には、一部の企業でDBや企業型DCを廃止してiDeCo+を実施する動きが起こるかもしれません。

7.他制度掛金相当額の経過措置の継続適用について

要望(信託協会)

「企業型DCの掛金又はDBの給付設計の見直し」を行う場合、他制度掛金相当額の経過措置を適用することができなくなることから、次に該当する給付の変更については、経過措置を継続適用できるよう見直していただきたい。
 ①定年延長に連動させる範囲での変更 
  例えば、定年延長前の他制度掛金相当額を上回らない等の基準を設け、その基準内で給付設計の見直しを行うケースを想定している。
 ②物価・賃金上昇に連動させる範囲での変更
  例えば、物価上昇率及び賃金上昇率(いずれも国の公表する統計値)の範囲でポイント制やキャッシュバランスプランのポイント単価を見直すケースや、基準給与の算定基礎が「給与」である(引用している)制度において給与のベースアップを実施するケースを想定している。

回答

対応不可

企業年金に加入している方と加入していない方との公平性を確保しながら、私的年金制度全体で一定額の非課税限度額を設けております。
そのため、経過措置に関する政令の施行日以降に所定の事項を変更した場合にも経過措置を継続的に適用することは、企業年金加入者のみを税制上優遇することにもつながりかねず、公平性確保の観点から、困難です。

コメント

令和6年12月に施行される内容に係る要望ですが、認められませんでした。
経過措置を継続したい場合には、DBで想定していた変更内容を全て退職金側で反映する方法等も選択肢となるかもしれません。