企業型DC加入者のiDeCo加入(併用)に係る報道に期待すること

企業型DC加入者のiDeCo加入要件の緩和(令和4年10月)とiDeCoの普及促進報道

令和2年6月5日に確定拠出年金法等を改正する法律が公布され、企業型DCの加入者は令和4年10月以降原則として誰でもiDeCoに加入(併用)できるようになりました「令和2年確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)改正法案の公布」参照)。今後は法改正を機にiDeCoに加入することを促すような報道も増加するものと予想されます。

口座管理手数料の軽減に向けた報道

口座管理手数料についての報道

企業型DCの加入者がiDeCoに加入する場合、iDeCoの口座管理手数料は本人が負担します。このため当該手数料を比較する報道や手数料が低廉な制度に加入することを勧める報道も予想されます。当該手数料を回避しつつ本人がDC掛金を拠出できる制度として「マッチング拠出」がありますが、iDeCoの手数料を比較する報道においてはこの点にも言及されることが期待されます。

連合によるマッチング拠出の上限抑制についての報道

「マッチング拠出額は事業主掛金以下」という規制があるため、事業主掛金が低いとマッチング拠出ではiDeCo(2万円[DB等加入者は1.2万円]が上限)よりも少額しか拠出できません。この「事業主掛金以下」という要件の撤廃に反対している代表的な団体が日本労働組合総連合会(連合)です(厚生労働省サイト「第9回 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会資料」(日本労働組合総連合会提出資料)参照)
しかしこれは事業主掛金が低いため自分でしっかり拠出したい労働者にとっては、負担する口座管理手数料が無料となることに連合が反対し、iDeCoの受託金融機関に手数料を支払わざるを得ない状況にしているようにも見えます。報道機関には連合の真意を報道すると共に、自らDCに拠出したい労働者(企業型DC加入者)がどの程度連合の方針に賛成しているのか報道することが期待されます。

運用商品の信託報酬についての報道

DCにおいては手数料控除後の実質的な運用利回りの違いが老後資金を大きく左右するため、良質で信託報酬の低い運用商品が提供されることは望ましく、報道機関がそれを促進することは望ましいと言えます。例えば2020年6月5日の日経新聞(電子版)「イデコ併用 老後に格差 年金改革法が成立、22年10月から 全会社員加入可能に」における「いまだにメインバンク系列の運用会社の高コスト投信が並ぶ会社も目立つ」という批判もそれに資する面があるでしょう。

しかし現在は全ての運営管理機関の提示商品がインターネットで確認できます「運営管理機関(iDeCo・企業型)の「提示運用商品一覧の公表」と「兼務規制緩和」の施行」参照)。例えば次のような報道がなされれば、記事に対する統計的な信頼度や中立性への評価が高まり、適切な運用商品の提示も進むのではないでしょうか。

・iDeCoと企業型DCの信託報酬の平均や分布の比較
 (全運営管理機関の単純平均、受託規模や業態等による違い等)

・当該報道機関が考えるレッドカード商品の基準と該当商品数(iDeCo・企業型)

・上記レッドカード商品提示運営管理機関(匿名)の見解

・上記レッドカード商品採用企業(匿名)の見解

・当該運営管理機関や企業に対する厚生労働省の見解や指導方針