運営管理機関(iDeCo・企業型)の「提示運用商品一覧の公表」と「兼務規制緩和」の施行

※ 厚生労働省サイトに運用各運営管理機関の提示商品のリンクが掲載されたため記事を更新しました(令和元年11月)。

令和元年7月1日に、確定拠出年金に関する次の省令通知の改正「運営管理機関の定期的評価、営業職員の兼務規制緩和に係る省令通知の改正」[平成30年7月24日公布]参照)が施行されました。

提示運用商品のインターネット開示

開示内容

運用の方法の公表イメージは厚生労働省サイト(下記)に掲載されています。元本確保型商品では中途解約利率(解約控除)の有無が、投資信託では手数料(運用中の信託報酬や売却時の信託財産留保額等)のパーセントが一覧できることが特徴です。
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000367979.pdf

※ 法施行当初は多くの運営管理機関の公表内容が検索困難という指摘がありましたが、現在は厚生労働省サイトのリンクから容易に確認できます(厚生労働省サイト「確定拠出年金制度」3.確定拠出年金の各種データ『運営管理機関登録業者一覧』参照)。

(参考)つみたてNISAの信託報酬

信託報酬率の評価においては、つみたてNISAの対象商品の信託報酬率の最近の分布も参考にになるかもしれません金融庁サイト「つみたてNISA対象商品の概要について(2019年5月7日時点)」参照)。例えば投資先を国内とするインデックス投信の信託報酬率(税抜き)の場合、告示で定める上限は0.5%ですが、2019年5月7日時点では対象商品の半数超が0.2%以下(平均は0.27%)となっています。

個人型DC(iDeCo)加入者への影響

確定拠出年金(DC)の運用商品の選定提示業務を行っている全ての運営管理機関のサイトに、当該運営管理機関が提示している運用商品や手数料が一覧表形式で表示され、法定の商品情報にも誰でもアクセスできるようになります。これにより運営管理機関の比較が容易になり、運営管理機関の決定や見直しを検討する際の情報が入手しやすくなるでしょう。そして劣後する商品や顧客本位でない運営管理機関の淘汰が進むものと思われます。

企業型DCの担当者や労働組合(過半数代表者)等への影響

企業型DCでもiDeCoと同様のことがいえます。また、運用商品の見直しについて運営管理機関に申し入れるか否かも労使で判断しやすくなるでしょう。

運営管理機関の営業職員の兼務規制の緩和

個人型DC(iDeCo)加入者への影響

確定拠出年金(DC)の運用商品の情報提供業務について、これまでは商品の営業を行っている職員が行うことは禁止されていました。しかしこの規制が緩和されたことで、対面での情報提供に積極的になる運営管理機関もでてくると思われます。対面対応の可否や受付場所、受付時間等について運営管理機関毎の違いが現れやすくなるでしょう。

なお、確定拠出年金(DC)の運用商品に関する情報提供を行う運営管理機関の職員(兼務者に限定されません)は、DCの十分な知識を有するよう研修を受けなければいけません。

企業型DCの担当者や労働組合(過半数代表者)等への影響

企業型DCでも法令上はiDeCoと同様の改正がなされました。しかし、企業型DCでは従来から対面で情報提供がなされていたケースもあるでしょうし、企業毎に制度や提示商品が異なるためiDeCoよりも兼務に慎重になる運営管理機関もあるかもしれません。兼務者による情報提供について労使で希望があれば、運営管理機関に申し入れましょう。

企業型DC加入者となった時点での会社からの説明

会社は企業型DC加入時に投資教育を行うよう求められていますが、加入から投資教育までのタイムラグをなくすよう今回の通知で求められています。入社後すぐに加入者となれる制度では、判断や手続きが必要となる事項や問い合わせ窓口等の重要な事項を入社時に確実に加入者に伝えたうえで、通知等で求められている投資教育事項「確定拠出年金(企業型DC)における投資教育と継続教育」参照)を網羅した資料も渡しましょう。
また運営管理機関が作成した運用商品の説明資料(法定の情報提供事項を網羅したもの)を会社が従業員に配布することとなっている場合には、入社時(加入以前)に必ず配布しましょう。