令和7年度厚労省・金融庁税制改正要望(iDeCo・公的年金適用拡大他)
令和7年度厚労省税制改正要望の公表
令和6年8月30日に厚労省は税制改正要望を公表しました(厚労省サイト「令和7年度厚生労働省税制改正要望について」参照)。
今回は「企業年金・iDeCo」「公的年金」「勤労者財産形成貯蓄」に係る規制緩和等が要望されています。
企業年金・iDeCo(厚労省サイト「令和7年度主な税制改正要望の概要」)
要望
私的年金制度のあり方について、社会保障審議会企業年金・個人年金部会で検討を行っており、その結果等を踏まえて、税制上の所要の措置を講ずる。
現状
令和5年4月より社会保障審議会企業年金・個人年金部会で私的年金制度の改革に関する議論を行っており、特にiDeCoについては、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(令和6年6月21日閣議決定)(※)や「新しい資本主義のグランドデザイン」(令和6年6月21日閣議決定)では、拠出限度額及び受給開始年齢について2024年中に結論を得る、拠出限度額の引上げ等について大胆な改革を検討し結論を得るなどとされている。
※ iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額及び受給開始年齢の上限引上げについて、2024年中に結論を得るとともに、手続の簡素化など加入者・受給者の負担軽減に取り組
む。
公的年金(厚労省サイト「令和7年度主な税制改正要望の概要」)
要望
公的年金制度のあり方について、社会保障審議会年金部会で検討を行っており、その結果等を踏まえて、税制上の所要の措置を講ずる。
現状
公的年金制度については、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(令和6年6月21日閣議決定)(※)において、「公的年金については、働き方に中立的な年金制度の構築等を目指して、今夏の財政検証の結果を踏まえ、2024年末までに制度改正についての道筋を付ける」とされている。女性や高齢者の就業拡大や、家族構成やライフスタイルの多様化、人手不足の中での労働力確保の要請等を踏まえ、次期年金制度改正に向けて、社会保障審議会年金部会において議論・検討を行い、その結果等を踏まえて働き方に中立的な年金制度の構築等を目指す。
※ 勤労者皆保険の実現のため、企業規模要件の撤廃を始め短時間労働者への被用者保険の適用拡大の徹底、常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消等について結論を得るとともに、いわゆる「年収の壁」を意識せずに働くことができるよう、「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用促進と併せて、制度の見直しに取り組む。
勤労者財産形成貯蓄制度(厚労省サイト「令和7年度主な税制改正要望の概要」)
要望
人生 100 年時代においてライフコースが多様化していること等を踏まえ、財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄の加入開始可能年齢の見直しについて検討を行い、その結果等を踏まえて、税制上の所要の措置を講ずる。
現状
人生100年時代においてライフコースが多様化していることや、就労機会確保の努力義務が70歳まで伸びていること等を踏まえ、勤労者が各自の多様な退職年齢に応じて計画的に財産形成を行うことができるよう、財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄の加入開始可能年齢の見直しについて検討が必要になっている。
令和7年度金融庁税制改正要望の公表
令和6年8月30日に金融庁は税制改正要望を公表しました(金融庁サイト「金融庁の令和7年度税制改正要望について」参照)。
今回の要望には次の内容が含まれています。
「資産所得倍増プラン」及び「資産運用立国」の実現
NISAの利便性向上等
・口座開設10年後の所在地確認のデジタル化・簡素化
・金融機関変更時の即日買付
・つみたて投資枠においてもアクティブETFが利用可能となるよう要件を整備
・つみたて投資枠におけるETFの最低取引単位の見直し
企業年金・個人年金制度の見直しに伴う税制上の所要の措置〔厚生労働省主担〕
上場株式等の相続税に係る物納要件等の見直し
・換金性の高い上場株式等について物納の特例を措置
金融所得課税の一体化〔農林水産省・経済産業省が共同要望〕
・金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大
安心な国民生活の実現
生命保険料控除制度の拡充
・令和6年度税制改正大綱(自由民主党・公明党、令和5年12月14日)において「子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充」として示された内容(※)で本年度措置すること。
※ 生命保険料控除における新生命保険料に係る一般枠(遺族保障)について、23 歳未満の扶養親族を有する場合には、現行の4万円の適用限度額に対して2万円の上乗せ措置を講ずること。