令和5年度与党税制改正大綱におけるiDeCo改革案と特別法人税の凍結期限の3年延長

【記事公開後の動向】
令和4年12月23日に政府が閣議決定した「令和5年度税制改正の大綱 」においても、特別法人税について「退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置の適用期限を3年延長する。」とされました。この政府税制改正大綱ではiDeCo改革(令和6年の公的年金の財政検証にむけて今後検討)については反映されていません。

自由民主党・公明党「令和5年度税制改正大綱」(2023年度税制改正大綱)

令和4年12月16日に与党(自由民主党・公明党)は「令和5年度税制改正大綱」を公表しました自民党サイト「令和5年度税制改正大綱」参照)

今回の大綱では、iDeCoについて11月28日に新しい資本主義実現会議が決定した「資産所得倍増プラン」「資産所得倍増プランにおけるiDeCo改革案」参照)の第2の柱のうち、次の2つが反映されました。

iDeCo の加入可能年齢を70歳に引き上げ
iDeCoの拠出限度額の引上げ
※ 2024年の公的年金の財政検証に併せて結論を得る

また特別法人税の凍結期限を3年延長することとされました。

iDeCo改革案

具体的な記載内容(抜粋)

具体的な記載内容(抜粋)は以下のとおりです。

私的年金や退職給付のあり方は、個人の生活設計にも密接に関係することなどを十分に踏まえながら、拠出・運用・給付の各段階を通じた適正かつ公平な税負担を確保できる包括的な見直しが求められる。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢の 70 歳への引上げ拠出限度額の引上げについて、令和6年の公的年金の財政検証にあわせて、所要の法制上の措置を講じることや結論を得るとされていることも踏まえつつ、老後に係る税制について、例えば各種私的年金の共通の非課税拠出枠や従業員それぞれに私的年金等を管理する個人退職年金勘定を設けるといった議論も参考にしながら、あるべき方向性や全体像の共有を深めながら、具体的な案の検討を進めていく。 

iDeCoの加入可能年齢を70歳に引き上げ

iDeCoの加入可能年齢(現行)

現在iDeCoには原則として次の年齢まで加入できます。

国民年金第1号被保険者
国民年金第3号被保険者

60歳
(国民年金の被保険者としての上限年齢)

国民年金第2号被保険者
任意加入被保険者

65歳
(国民年金の被保険者としての上限年齢)

iDeCoの加入可能年齢を70歳まで引き上げる場合の論点

iDeCoの加入可能年齢を70歳まで引き上げる場合、次のような論点があります。

① 引き上げ対象は全員か一部の者か
② 国民年金の被保険者としての上限年齢と連動するのか
③ ②で連動しない場合、どのような条件を満たした者が対象か

これについては未だ明確ではないものの、第19回企業年金個人年金部会で企業年金・個人年金課長から次のような考えが示されています。

・あくまでも公的年金の上乗せという枠組みを維持
・例えば一定期間公的年金に加入していることを要件にする等
・技術的・実務的な検討が必要(全く無理ということではない)

iDeCoの拠出限度額の引き上げ

iDeCoの拠出限度額(現行:2024年12月以降)

現在のiDeCoの拠出限度額は次のとおりです。

国民年金第1号被保険者・
任意加入被保険者

6.8万円
(国民年金基金等との合計)

国民年金
第2号被保険者

企業型DCとDB等
双方に加入

次のいずれか低い額
・2万円
・5.5万円ー他制度掛金相当額ーDC事業主掛金

企業型DCのみ加入

次のいずれか低い額
・2万円
・5.5万円ーDC事業主掛金

DB等のみ加入
・公務員

次のいずれか低い額
・2万円
・5.5万円ー他制度掛金相当額

企業型DC・
DB等非加入

2.3万円

国民年金
第3号被保険者

2.3万円

iDeCoの拠出限度額を引き上げる場合の論点

iDeCoの拠出限度額を引き上げる場合、次のような論点ががあります。

①国民年金基金の掛金は引き上げるのか
②企業型DCの拠出限度額は引き上げるのか

今回の税制改正大綱にはこれらについての言及がありません。
仮にこれらの引き上げを行わない場合、iDeCoの拠出限度額の引き上げは「6.8万円」「5.5万円」ではなく、「2.3万円」「2万円」がその候補と予想されます。
「2万円」を「2.3万円」に引き上げることについては令和4年11月の「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」の回答でも「検討を予定」とされています「「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」(確定拠出年金関連)に対する厚労省の回答(令和2~3年度)」参照)

iDeCoの中小事業主掛金

iDeCoの中小事業主掛金を拠出できる企業は、現在は企業型DCやDB等を実施していない事業主のうち、厚生年金被保険者が「300人以下」の事業主とされています。この人数要件の緩和は令和2年に公布された年金制度改正法の附則にも検討事項として規定されています。人数要件の緩和は厳密には拠出限度額の引き上げではありませんが、iDeCoに事業主が拠出できる額を引き上げる改正です。

特別法人税の凍結期限の3年延長

特別法人税の凍結期限は現在令和5年(2023年)3月末ですが、これを3年延長するとされました。

退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置の適用期限を3年延長する。