高額の短期退職手当等(勤続5年以下)への課税強化に係る所得税法の改正(令和3年3月31日公布)
所得税法等の一部を改正する法律の公布(令和3年3月31日)と退職所得に係る課税強化
令和3年3月31日に「所得税法等の一部を改正する法律」が公布されました。
この法律では所得税法30条(退職所得)等が改正され、退職所得に係る課税が強化されました(財務省サイト「第204回国会における財務省関連法律」参照)。
退職所得に係る課税強化の概要
「短期退職手当等」(注)の収入金額から退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分については、退職所得の金額の計算上2分の1とする措置を適用しないこととされました。
(注)退職手当等の支払者の下での勤続年数が5年以下である者への退職手当等(特定役員退職手当等を除く)
いつから適用されるか
この改正は令和4年1月1日以後に支払うべき退職手当等に適用されます。
改正前後の所得税法30条(退職所得)
所得税法30条(退職所得)の具体的な改正内容は下記のとおりです。
改正後 | 改正前 |
(略) 2 退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一に相当する金額(当該退職手当等が、短期退職手当等である場合には次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とし、特定役員退職手当等である場合には当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とする。)とする。 一 当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が三百万円以下である場合 当該残額の二分の一に相当する金額 二 前号に掲げる場合以外の場合 百五十万円と当該退職手当等の収入金額から三百万円に退職所得控除額を加算した金額を控除した残額との合計額 3 前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。 一 政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額 二(略) 4 第二項に規定する短期退職手当等とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(前項第一号に規定する勤続年数のうち、次項に規定する役員等以外の者としての政令で定める勤続年数が五年以下であるものをいう。第七項において同じ。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであつて、次項に規定する特定役員退職手当等に該当しないものをいう。 5 第二項に規定する特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、役員等(次に掲げる者をいう。)としての政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「役員等勤続年数」という。)が五年以下である者が、退職手当等の支払をする者から当該役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいう。 一~三(略) 6 (略) 7 その年中に一般退職手当等(退職手当等のうち、短期退職手当等(第四項に規定する短期退職手当等をいう。以下この項において同じ。)及び特定役員退職手当等(第五項に規定する特定役員退職手当等をいう。以下この項において同じ。)のいずれにも該当しないものをいう。以下この項において同じ。)、短期退職手当等又は特定役員退職手当等のうち二以上の退職手当等があり、当該一般退職手当等に係る勤続年数、当該短期退職手当等に係る短期勤続年数又は当該特定役員退職手当等に係る役員等勤続年数に重複している期間がある場合の退職所得の金額の計算については、政令で定める。 | (略) 2 退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一に相当する金額(当該退職手当等が特定役員退職手当等である場合には、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額)とする。
3 前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。 一 政令で定める勤続年数(以下この項及び第六項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額 二 (略)
一~三(略) 5 (略) 6 その年中に第四項に規定する特定役員退職手当等と特定役員退職手当等以外の退職手当等があり、当該特定役員退職手当等に係る役員等勤続年数と特定役員退職手当等以外の退職手当等に係る勤続年数の重複している期間がある場合の退職所得の金額の計算については、政令で定める。 |