金融庁「資産運用に関するタスクフォース」報告書におけるDC運営管理機関の商品選定の課題

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」「資産運用に関するタスクフォース」報告書の公表

令和5年12月12日に金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」及び「資産運用に関するタスクフォース」による報告書が公表されました。

「資産運用に関するタスクフォース」

「資産運用に関するタスクフォース」は、家計の安定的な資産形成の実現等に関する検討を行っている市場制度ワーキング・グループにおいて、資産運用に関する制度的な枠組み等の専門的な検討を行うために設置されました。このタスクフォースにおいては、資産運用会社等のガバナンス改善・体制強化やスチュワードシップ活動(企業との対話)の実質化、国内外の資産運用会社の新規参入の支援拡充・競争促進、資産運用力の向上及び成長資金の供給と運用対象の多様化に向けた環境整備等について、審議を行っています。

DC運営管理機関における商品選定の課題

この報告書には次の記載があります。

DC運営管理機関におけるDC においては、企業の多くは運営管理業務や投資教育を金融機関等(運営管理機関)へ委託しており、運営管理機関は、加入者の最善の利益を確保する観点から、適切な運用商品の選定・提示や情報提供の充実等を行うことが求められる。この点、運営管理機関については、他の金融グループの投資信託を含めた、最善の商品が選定されていないのではないか、といった懸念も指摘されており、運営管理機関は、加入者本位の下で、適切な業務運営や創意工夫をしていくことが期待される。こうした点も含め、アセットオーナーを支える金融機関について、当局が適切にモニタリングを行い、必要に応じて改善を求めていくことも不可欠であると考えられる。

系列資産運用会社の投資信託への選定の偏り

系列資産運用会社の投資信託への選定の偏りは、令和5年4月21日に金融庁が公表した「資産運用業高度化プログレスレポート 2023」でも指摘されています(「金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2023」 におけるDC運営管理機関の商品選定等に係る分析と提言」参照)。同レポート図3-4、3-5によると、提示されている投資信託の概ね6~7割が系列資産運用会社の投資信託となっています。これが当局のモニタリングによって妥当と評価されるかどうかが注目されます。