企業型DC・iDeCoの75歳受給開始と退職所得課税の見直し(令和4年4月施行)

【記事公開後の更新情報】

令和3年8月6日に公布された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」45条で所得税法施行令70条が改正され、DCの老齢給付金(一時金)を受給した場合に退職所得控除額の調整が必要となる給付が、その年の前年以前「14年内」から「19年内」となった(令和4年4月施行)ことを反映しました。

公的年金やDCの75歳繰り下げ受給(年金制度改正法)

令和2年6月5日に公布された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金制度改正法)により、公的年金やDCの給付を75歳まで繰り下げて受給できるようになります(令和4年4月施行)。ただし従来と同様の年齢から受給することもできます。

DCと他の退職手当等との退職所得控除額の調整

現在の要件

過去に退職手当の支払を受けたことがある場合、それが次の期間内であれば退職所得控除額の調整が必要となります。

・DCの老齢給付金(一時金)を受給した場合・・・その年の前年以前「14年内」
・それ以外の退職手当を受給した場合・・・その年の前年以前「4年内」

DCだけが異なるのは、「退職所得の収入金額の収入すべき時期」がDCでは「給付事由が生じた日」とされているため、10年間請求を遅らせても退職所得控除額の調整対象となるようにしたものと思われます。

令和4年4月以降の要件

令和4年4月以降は請求を75歳まで遅らせることができるようになることから、現在の「14年」要件は「19年」に変更されました(所得税法施行令の改正)。

ただし、この規制が「4年+DC固有の繰り下げ期間」を考慮したものであれば、「14年内」「19年内」といった年数の要件よりも「56歳に達した年以降」という年齢の要件のほうがふさわしかったかもしれません。

なお退職手当等の支払いを受けた際に記録関連運営管理機関(国民年金基金連合会)に通知を行う加入者等の年齢範囲は「46歳(=60歳-14年)以上」から「41歳(=60歳-19年)以上」となります。