確定拠出年金関係団体の令和2年度税制改正要望等

令和2年度税制改正要望等

例年8月末に厚生労働省等が税制改正要望を公表することから、今年も多くの団体が7月末を目処に確定拠出年金(DC)関連の税制改正要望を提出しています(以前は厚生労働省が募集期間を明示していましたが現在はなくなったようです)。これを受けて当サイトの「関係団体の確定拠出年金制度改正要望」を更新しました。以下は、気になった項目です。

企業年金連合会への個人拠出

これは企業年金連合会の要望です。同団体は確定給付企業年金(DB)や厚生年金基金の資産の集約し老後資金に充てる重要な役割を果たしています。また企業型DC(注)からの資産移換の受け入れ要望も以前から提出していましたが、少額資産の移換は移換者にとって非効率であるという課題がありました。仮に企業年金連合会で掛金の拠出が可能となった場合、少額の資産であっても移換しやすくなり、老後資金に充てやすくなるものと期待されます。
(注)個人型DCを除いている点は気になります。

退職所得控除額における長期勤続優遇の廃止

連合の要望

退職所得控除額は現在は勤続20年未満は1年あたり40万円、勤続20年以上は1年あたり70万円と長期勤続優遇の算定式となっています。これについては見直しを求める意見が税制調査会の答申でも出されています「政府税制調査会答申「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり方」」参照)が、日本労働組合総連合会(連合)は1年あたり一律60万円という見直し案(要望)を公表しています。

1年あたりの退職所得控除額と影響

1年あたりの退職所得控除額を(40万円と70万円の間の)一律の額とした場合、勤続年数の短い退職者は退職所得控除額が増加しますが、勤続年数が長くなるとどこか(下記年数)で減少に転じます。

① 60万円/年…勤続60年
② 55万円/年…勤続40年
③ 50万円/年…勤続30年

連合のように①で要望しておけば労使双方の団体が反対することはなさそうですが、年金選択者に比して一時金受給者を税制優遇しすぎているとの批判もある中、更に優遇となる①を税務当局が認めるとは考え難い気がします。

②は大半の従業員が勤続40年未満で退職する(※)ことを考えれば、退職者全体の退職所得控除額(総額)は多くの企業で増加することが予想され、一律化が避けられない場合には労使双方にとって望ましい側の案と評価されるでしょう。

※ 例えば首相官邸サイト(「人生100年時代構想会議」サイト)に掲載されている「人づくり革命 基本構想 参考資料(平成30年6月)」によれば転職なしで60歳に達する人は男性で3割、女性では数%です(厳密には(ア)60歳で退職金を支給する会社に20歳以降に入社する人を除き、(イ)60歳以降も退職金を通算する会社に20歳前後で転職した人を加える等の補整が必要です)。

③だと新卒入社の定年退職者にとっては厳しい結果となり、従業員側の反発が予想されます。しかし③は40年間勤続した場合2000万円となります。2000万円問題「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の公表」参照)で2000万円は庶民にとって高めの水準というイメージで報道されたことで、大企業の労使は③に対し低すぎると反論しづらくなったかもしれません。

中退共の受給資格等

連合は中退共(特定業種退職金共済を含む)における短期勤続退職者への不支給や減額を緩和することも求めています。これは「同一労働同一賃金」の動きに関連するものかもしれません。同一労働同一賃金のDCへの適用についても注意が必要でしょう「パートタイム・有期雇用労働法の公布と退職金・企業年金への同一労働同一賃金の適用」参照)