事業主掛金の事業主返還(企業型DC)

【記事公開後の動向】

令和2年9月30日の通知改正により、同年10月以降はDC非加入者(有期雇用者に限る)への代替措置の要否に事業主返還規定の有無が影響することとなりました「DC非加入者への代替措置要件の変更と同一労働同一賃金ガイドラインのDC通知への反映」参照)

事業主返還

企業型DCに加入していた会社を退職した場合、当該企業型DCの資産に含まれる事業主掛金相当額が会社に返還される場合があります(事業主返還)。なお死亡退職者や加入者資格喪失年齢到達者の場合は返還されることはありません。

企業型DCにおいて事業主返還となる場合

次の要件をすべて満たした場合、事業主返還の対象となります。

・企業型DC規約で事業主返還を行う旨規定している
・当該企業で使用された期間(≠加入期間)が3年未満
 (規約で「3年」よりも短い期間を定めていればその期間未満)
・加入者資格喪失事由が本人の都合
 (規約で「懲戒解雇」等に限定していればその事由)

企業型DCの資産から事業主に返還される額

企業型DCでの運用中に運用益が生じている場合

事業主返還される額

退職した会社が拠出した事業主掛金額。
(規約でその一部と規定していれば一部)

事業主に返還されない額

・加入者が負担したマッチング拠出額
・個人型DCや他の企業型DCから移換した額
・退職金や他の企業年金から移換した額
・運用益

企業型DCでの運用中に運用損が生じている場合

「当該企業型DCに事業主が拠出した事業主掛金額から、当該事業主掛金額に係る運用損を控除した額」を返還します。
(このため、事業主返還により資産がなくなることはあっても、会社からそれ以上の支払いを求められることはありません。)