キャッシュバランスプランから確定拠出年金(企業型DC)への移換

キャッシュバランスプラン(CB)とは

確定給付企業年金(DB)実施企業では、キャッシュバランスプラン(CB)という給付設計を採用する企業が増加しています。
キャッシュバランスプランの基本的な仕組みはバーチャルな確定拠出年金(DC)といえます。退職時に一時金で受給する場合、受給額は仮想のDC掛金と仮想の運用益の合計額となります。仮想の運用利回りとしては国債の応募者利回りを採用する企業が多く、そのまま用いる企業もあれば、若干上乗せをしたり、上下限を設ける企業もあります。また自己都合退職者の給付を減額する企業もあります。
企業が拠出する掛金は仮想のDC掛金とは一致しません。実際の運用利回りが低いほど実際の掛金は高くなります。また自己都合退職者の給付を減額する制度では、減額割合が大きく自己都合退職割合が高いほど実際の掛金は低くなります。

(参考)疑似キャッシュバランスプラン(疑似CB)

疑似キャッシュバランスプラン(疑似CB)は一時金の給付額は通常のDBや退職金と同様ですが、年金額を算定する際の退職後の利率に国債等の利回りを用いる設計で、キャッシュバランスプラン類似制度ともよばれます。疑似CBからDCに移行する際の設計は通常のDBからの移行と同様です。

キャッシュバランスプランから確定拠出年金(企業型DC)に移行する際の設計

(注)ここでは企業が制度改廃しDCに移行する場合について解説しています。離転職時に脱退一時金相当額を移換する場合は、一般の確定給付企業年金(DB)からの移換(「確定給付企業年金等から確定拠出年金への資産移換(退職時等)」参照)と同様です。

単純な設計

DCの運用利回りの想定がキャッシュバランスプラン(CB)の仮想の利回りと同じであれば、DCの設計は単純です。CBの仮想の掛金をDCの掛金とし、CBの仮想の元利合計をDCの移換額とすれば(※)、移行前後で給付カーブは基本的に一致します(ただしCBにおける自己都合退職者の減額措置はDCでは反映できません)

※ DBから移換する資産で一致させるか、退職金からの移換を組み合わせるか等はDBの受託機関にもご相談ください。

設計内容の調整

CBと企業型DCで想定している利回りの違いの調整

キャッシュバランスプラン(CB)と確定拠出年金(企業型DC)で想定している利回りが異なる場合は設計の見直しが必要となります。企業型DCの想定利回りの方が低い場合には、原則としてDCの掛金やDCに移換する額を引き上げることとなります。

CB移行により想定外の給付減額が起こっている場合の緩和措置

キャッシュバランスプラン(CB)移行時の記事とその後の国債応募者利回りの水準から推測すると、CBの付利利率が移行時の想定を1%以上下回っている企業も少なくなさそうです。このためCB移行後の期間が長いと給付水準が想定よりも1割以上低くなった企業もありそうです。
CB移行時は確定給付企業年金法等に定める労使合意手続きを経ているはずですので、会社には減額部分を補填する法的義務はないと思われます。しかし、従業員の老後生活への影響が大きそうな場合や、CB移行時の労使合意手続きが拙速であった場合等は、労働組合等から会社に対し移換額の上乗せを求めることも考えられます。