確定給付企業年金(DB)・厚生年金基金等から確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)への資産移換(退職時等)
退職給付制度の改廃がない場合(退職や転職等の場合)で、確定拠出年金(DC)以外の制度からDC(iDeCo・企業型)に資産が移換されるのは、次の場合です。
確定給付企業年金(DB)・厚生年金基金実施企業の退職者(加入者資格喪失者)が確定拠出年金(DC)に加入
確定給付企業年金(DB)からDC(iDeCo・企業型)への移換
確定給付企業年金(DB)の加入者資格喪失後1年以内の者(脱退一時金を受給できる者)で、確定拠出年金(DC)に加入する(している)者であれば、申し出によりDBの脱退一時金相当額を当該確定拠出年金に移換できます。移換先のDCは企業型でもiDeCo(イデコ)でも良く、DCの加入時期がDBの加入者資格喪失時期よりも前でも移換できます。このため総合型やグループ型のDBを実施していた企業でDCも実施していた企業が、DBから事業所脱退した場合にもこの要件でDCに移換できます。
ただし、DBを継続する事業所がなくDBを終了する場合にはiDeCoには移換できず、企業型DCへの移換も制度改廃時の移換(「退職金・確定給付企業年金・厚生年金基金・中退共から企業型DCへの資産移換と中退共への資産移換(制度改廃時)」参照)に係る規約変更が必要となります。
(注1)確定給付企業年金で直ちに年金を受給できる者は移換できません。
(注2)例えば次の場合は移換について慎重に検討すべきでしょう。
・DBで今後付利される利率が確定拠出年金の運用利回りよりも高そうな場合
・DBで将来終身年金が受給できる場合
・退職所得控除額を超過しそうな場合※1※2(「退職所得控除額」参照)
※1 移換せず収入年度を分けることで課税額が抑えられる場合があります。
※2 DBの加入者拠出相当額はDCに移換すると課税対象ですが、DBのままだと課税対象外です。
厚生年金基金から確定拠出年金(DC)への移換
厚生年金基金の加入員資格喪失後1年以内の者(脱退一時金を受給できる者)で、DC(iDeCo・企業型)に加入する(している)者であれば、申し出により厚生年金基金の脱退一時金相当額を当該確定拠出年金に移換できます。
(注)厚生年基金基金で加算年金を受給できる者は移換できません。
(ご参考)DC以外の移換先の選択肢
DBや厚生年金基金の脱退一時金をDCに移換する前に、他の制度への移換や脱退一時金の受給(又は年金の受給待期)と比較検討することが必要です。DC以外の移換先としては次の選択肢があります。
DBの脱退一時金等を企業年金連合会に移換
DBや厚生年金基金の脱退一時金は企業年金連合会に移換することができます(「企業年金連合会(存続連合会)とDC(企業型DC・iDeCo)・DB間の移換」参照)。
(注)DBや厚生年金基金の終了(解散)時の残余財産は企業年金連合会や企業型DCに移換することはできますが、個人型DC(iDeCo)に移換することはできません。
DBの脱退一時金を他のDBに移換
DBの脱退一時金は他のDBに移換できる場合があります。ただし、受け入れ側の規約に定めた場合に限られるため、実際にはほとんど認められていません。移換できる場合は入社時に会社からその旨の説明があるはずです。給付額への反映方法は受け入れ企業毎に異なりますのでご確認ください。
企業年金連合会に資産がある者が確定拠出年金に加入
企業年金連合会に資産がある者で、DC(iDeCo・企業型)の加入者(加入後3ヵ月以内)であれば、申し出により企業年金連合会の資産を当該DCに移換できます(「企業年金連合会(存続連合会)とDC(企業型DC・iDeCo)・DB間の移換」参照)。
(注1)企業年金連合会に資産があるかどうかは企業年金連合会サイト「企業年金記録確認サービス」で確認できる場合があります。
(注2)移換について慎重に検討すべき場合はDBからの移換時と概ね同様です。なお、企業年金連合会の付利利率は企業年金連合会への移換時期や移換時の年齢により異なります。