骨太の方針(「経済財政運営と改革の基本方針2024」【閣議決定】)におけるiDeCoと公的年金の改革方針

骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2024)の閣議決定

 令和6年6月21日に「経済財政運営と改革の基本方針2024 ~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」(骨太方針2024)が、経済財政諮問会議での答申を経て閣議決定されました内閣府サイト「経済財政運営と改革の基本方針2024」参照)
 資産運用立国実現に向けた取り組みでは、iDeCoの拠出限度額及び受給開始年齢の上限引上げについて2024年中に結論を得るとされました。
 公的年金についても、働き方に中立的な年金制度の構築等について、2024年末までに制度改正についての道筋を付けるとされました。いわゆる「年収の壁」への対応の他、小規模企業や短時間労働者固有の取扱いについても検討が予定されています。
 なお、昨年の骨太の方針において検討事項とされた退職所得課税の見直し(「令和5年度骨太の方針(閣議決定)における退職所得控除(勤続20年格差)・iDeCo拠出限度額・社会保険等の見直し方針」参照)については今年は特段の記載はありませんでした。

資産運用立国実現に向けた取り組み

家計の現預金が投資に向かい、企業価値向上の成果が家計に還元されるよう、「資産運用立国実現プラン」に基づき資産運用業の改革を進めるとされました。
「「資産運用立国実現プラン」の公表」参照。

iDeCoの規制緩和

iDeCo(個人型確定拠出年金)拠出限度額及び受給開始年齢の上限引上げについて、2024年中に結論を得るとともに、手続の簡素化など加入者・受給者の負担軽減に取り組む。

アセットオーナーシップ改革

運用・ガバナンス・リスク管理に係る共通原則を定めるアセットオーナー・プリンシプルの策定、加入者のための企業年金の運用の見える化等により、アセットオーナーシップの改革を推進する。

NISAの活用、金融経済教育、金融機関の業務運営等

新NISAの手続の更なる簡素化・合理化等及びその活用、金融経済教育推進機構の下での金融経済教育の充実、金融機関における顧客本位の業務運営の確保、「Japan Weeks」開催等を通じた国際金融センター実現に向けた情報発信の強化、有価証券報告書の株主総会前の開示に向けた環境整備等のコーポレートガバナンス改革の実質化等を推進する。

働き方に中立的な公的年金制度の構築等

公的年金については、働き方に中立的な年金制度の構築等を目指して、今夏の財政検証の結果を踏まえ、2024年末までに制度改正についての道筋を付ける。勤労者皆保険の実現のため、企業規模要件の撤廃を始め短時間労働者への被用者保険の適用拡大の徹底、常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消等について結論を得るとともに、いわゆる「年収の壁」を意識せずに働くことができるよう、「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用促進と併せて、制度の見直しに取り組む。