自民党「新しい資本主義実行本部」提言におけるiDeCo改革の提言(拠出限度額・加入上限年齢)
自民党「新しい資本主義実行本部 経済構造改革委員会 提言(令和6年5月23日)」の公表
自民党の新しい資本主義実行本部経済構造改革委員会は、新しい資本主義の進展に向けた新たな提言を取りまとめ、5月29日に同本部の本部長も務める岸田文雄総理と新藤義孝新しい資本主義担当大臣に申し入れました(自民党サイト参照)。提言では(1)生産性を高め供給を増やす循環(2)需要を増やす循環(3)海外とつながる循環――からなる「3つの循環」を実現することで、今後、人口減少が加速する下でも、わが国の長期的な経済・財政・社会保障の持続可能性を確保する方向性が示されています。
国民の豊かさ・幸福感を実感できる所得向上に向けた方策
この提言では、国民の豊かさ・幸福感を実感できる所得向上に向けた方策として、次の方策が提言されています。
② 労働慣行や取引関係の是正
③ 最低賃金の引上げ
④ 個人の資産所得向上に向けた「資産運用立国」の推進
④では次に記載するiDeCo改革案の他、DBの見える化や資産運用業のコスト削減に向けた環境整備、アセットオーナープリンシプル(注)、投資信託における多様なインデックスを活用したの商品提供促進や資産運用会社の参入障壁の是正等について提言されています。
(注)新しい資本主義実現会議のアセットオーナー・プリンシプルに関する作業部会では、令和6年6月3日(第4回)において案が示されています(内閣官房サイト「アセットオーナー・プリンシプル(案)」参照)。
DCに関する提言
iDeCoについては加入可能年齢の70歳への引き上げや拠出限度額の引き上げについて検討を進めることが提言されています。
働き方やライフコースの多様化等を踏まえ、豊かな老後生活に向けた安定的な資産形成の助けとするため、確定拠出年金(DC)について、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢の70歳への引上げや拠出限度額の引上げを含め、特に若年層の年金不安が解消されるよう、拠出・運用・給付の各段階を通じた包括的な見直しについて検討を進めるべきである。
個人型確定拠出年金(iDeCo)について、高齢期における就業率が伸びていることや老後の資産所得確保の必要性が高まっていることから、その活用の促進のため、拠出限度額の引上げなどの検討を進めるべきである。