旧定年打切支給(退職金・DB・DC)時の退職所得審査事例等(熊本国税局・東京国税局)
定年が65歳等の場合で、退職給付を旧定年(60歳等)で受給した場合、概ね以下のとおりと推測されます。
・確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の場合…支給された一時金が老齢給付金なら退職の有無に関わらず「退職所得」
・退職一時金の場合(熊本国税局の審査事例)…定年延長前の入社者なら「退職所得」
・確定給付企業年金(DB)の場合…旧定年で支給される退職一時金が退職所得なら「退職所得」
(退職時に受給せずに退職後に年金総額に替えて選択一時金を受給する場合も「退職所得」)
旧定年で支給する退職一時金(平成31年3月1日熊本国税局審査事例)
所得税基本通達30-2(5)では、次の場合には退職所得になるとされています。
この通達の解釈について熊本国税局が(ア)定年延長前に入社した従業員はこれに該当し、(イ)定年延長後に入社した従業員はこれに該当しないものとして取り扱った事例が平成31年3月1日に公表されました(国税庁サイト熊本国税局文書回答事例「定年を延長した場合に従業員に対してその延長前の定年に達したときに支払う退職一時金の所得区分について」参照)。
旧定年以降新定年前に支給するDBの一時金(令和5年6月26日東京国税局審査事例)
旧定年で支給する退職一時金が退職手当等として扱われる場合には、DBの給付を旧定年以降に繰り下げて退職前に受給しても退職所得に該当するものとして取り扱った事例が令和5年6月26日に興行されました(国在庁サイト東京国税局文書回答事例「定年延長に伴い打切支給の退職金の支給を受けた従業員が、定年延長期間中に確定給付企業年金から支給を受ける選択一時金の退職所得該当性について」参照)。
(注)新定年以降に受給する場合は、所得税基本通達31-1(下記)該当すれば、退職所得に該当します。
法第31条第3号に規定する「加入者の退職により支払われるものその他これに類する一時金として政令で定めるもの」又は令第72条第2項に規定する「加入員の退職に基因して支払われるもの」には、確定給付企業年金法の規定に基づいて支払われる退職一時金、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律第1条の規定による改正前の厚生年金保険法第9章の規定に基づいて支払われる退職一時金、法人税法附則第20条第3項に規定する適格退職年金契約に基づいて支払われる退職一時金、平成25年厚生年金等改正法附則の規定に基づいて支払われる退職一時金、平成25年厚生年金等改正法第2条の規定による改正前の確定給付企業年金法の規定に基づいて支払われる退職一時金又は確定拠出年金法の規定に基づいて老齢給付金として支払われる一時金のうち、次に掲げる一時金がそれぞれ含まれるものとする。
(1) 確定給付企業年金規約、厚生年金基金規約又は適格退職年金契約に基づいて支給される年金の受給資格者に対し当該年金に代えて支払われる一時金のうち、退職の日以後当該年金の受給開始日までの間に支払われるもの(年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものを含む。)
(以下略)