確定拠出年金の拠出限度額の推移と根拠

 

【記事公開後の更新情報】

令和2年3月3日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」が国会に提出され同年5月29日に成立し6月5日に公布されました「令和2年確定拠出年金改正法案(年金制度改正法案)の国会提出」参照)。この法律ではiDeCoの加入資格や企業型DC同時加入に係る要件等が見直されています。
(改正は赤字で記載)

拠出限度額の推移

これまでの拠出限度額(加入1カ月あたり(※):万円)の推移は次のとおりです。

※ 掛金拠出規制の年単位化(平成30年1月施行)後は未使用の拠出限度額を年内であれば繰り越せるようになりました(「確定拠出年金(企業型DC)の拠出限度額」「個人型DC(iDeCo)の拠出限度額と拠出額の選択肢」参照)。

制度
企業型DC個人型DC(iDeCo)(※6) 
職業会社員等※1自営業者等※2会社員・公務員等※3専業主婦等
国民年金123
DB等※4非加入加入なし非加入加入※5なし
2001.103.61.86.81.5
2004.104.62.3同上1.8
2010.15.12.55同上2.3
2014.10
5.5
2.75同上同上

2017.1
(根拠は後半に)

5.5(①)
2.75(②)
6.8
(③)
2.3(④)
1.2(⑥)2.3
3.5(⑦)
※7
1.55(⑧)
※7
2.0(⑤)
※8
1.2(⑥)
※8

※1 上段は個人型DCに同時加入できない企業型DC加入者の拠出限度額。
   下段は個人型DCに同時加入できる企業型DC加入者の拠出限度額。   
※2 国民年金基金の掛金・国民年金の付加保険料との合計での拠出限度額。
※3 上段は企業型DC非加入者の拠出限度額。
   下段は個人型DCに同時加入できる企業型DC加入者の拠出限度額。
   (注)同時加入できない企業型DCは原則なくなります。【令和4年10月施行】
      ただし「年単位化」(平成30年改正)を活用している制度(※)の加入者は個人型DC加入不可。
      ※ 事業主掛金が月払以外、又は拠出限度額の未使用枠の繰越により5.5万円(2.75万円)超拠出する制度。

※4 確定給付企業年金・厚生年金基金・私立学校教職員共済制度・石炭鉱業年金基金。
※5 公務員を含む。
※6 国民年金の任意加入被保険者も加入可能(拠出限度額は月6.8万円)に【令和4年5月施行】
※7 個人型DCに同時加入しても上段の金額に【令和4年10月施行】
※8 ※7により「拠出限度額-企業型DC掛金」の方が低くなる場合は「拠出限度額-企業型DC掛金」【令和4年10月施行】

拠出限度額の根拠

① 企業型DC(DB非加入者):5.5万円

厚生年金基金の望ましい上乗せ水準(マクロ経済スライド調整後の公的年金と合わせて退職前給与の6割に相当する水準)を勘案して設定。

民間事業所の大部分をカバーする給与水準 (65万円)
× 厚生年金基金の免除保険料率 (3.8%)
× 2.23 倍

② 企業型DC(DB加入者):2.75万円

DC制度創設時の厚生年金基金の上乗せ水準の平均が①の水準(当時)の概ね2分の1に相当したため拠出限度額も①の2分の1。

③ iDeCo(自営業者等):6.8万円

国民年金基金の拠出限度額(6.8万円)の枠内で、iDeCoか国民年金基金かを選べるようにした。この国民年金基金の拠出限度額は、厚生年金基金加入員に対する社会保険料控除とのバランスを勘案して設定。

④ iDeCo(DB非加入の会社員):2.3万円

企業年金を実施している企業の事業主掛金と加入者掛金の実態の大半をカバーする水準を勘案して設定

(注)DC制度創設時の1.5万円は大部分の厚生年金基金における上乗せ部分の掛金額。

⑤⑥ iDeCo(企業型個人型同時加入者):2万円/1.2万円(※)

マッチング拠出の実態の大部分(9割)をカバーする水準を勘案して設定。
※ ⑦⑧改正後は「拠出限度額-事業主掛金」も超えないこと【令和4年10月施行】

⑦⑧ 企業型DC(企業型個人型同時加入者):3.5万円/1.55万円

企業型個人型同時加入者は、企業型の拠出限度額と個人型の拠出限度額の合計が①②の拠出限度額と一致するよう設定。

①②と同額まで可能に【令和4年10月施行】