個人型年金規約の改正(消費税率の引き上げ等)

平成31年3月17日に国民年金基金連合会は「個人型年金規約の一部を改正する規約」を公示しました。今回の改正では国民年金の第1号被保険者の産前産後期間の掛金拠出及び過半数代表者の選出に係る政省令改正(平成31年4月1日施行)と、消費税率引き上げ(令和元年10月1日施行)について規定されました厚生労働省サイト「iDeCo公式サイトのご案内」の規約・届出書様式参照)

平成31年4月施行の個人型DC(iDeCo)関連改正

産前産後期間は個人型DC(iDeCo)の掛金拠出は可能

平成31年4月以降は国民年金第一号被保険者の産前産後期間(原則として出産予定日の前月から4か月間)の国民年金保険料が免除されます。当該免除期間は個人型DC(iDeCo)の掛金を拠出できる旨政令で規定されました「年金改革法と国民年金保険料免除期間中のiDeCo拠出可否」参照)が、今回個人型年金規約にもそれが反映されました。

中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)実施時の過半数代表者選出時の留意事項の明確化

過半数代表者選出に係る省令改正

働き方改革関連法令で労働法関連省令及び企業年金関連省令が改正され、過半数代表者選出時の留意事項として次の事項が明示されました(平成31年4月1日施行)。

① 当該過半数代表者は事業主の意向に基づき選出されたものでないこと。 
② 当該過半数代表者が当該同意及び協議に関する事務を円滑に遂行することができるよう、事業主は必要な配慮を行うこと。 
 

なお労働法の解釈において、②の「必要な配慮」には、社内イントラや社内メールで意見集約する仕組みのある会社がその利用を認めることや、作業スペースを提供することが含まれるとされたことから、企業年金においても同様に解釈するものと思われます。

個人型DC(iDeCo)で過半数代表者の同意が必要となる場合

個人型DC(iDeCo)は個人の意思で委託先や拠出額を決定するため、企業での労使合意は通常は必要ありません。しかし中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)「中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)」参照)を実施(または変更)する場合は労使合意が必要となります。厚生年金保険の被保険者の過半数で組織する労働組合がない場合は過半数代表者の同意を取得することが必要となることから、上記省令改正に伴う規約変更がなされました。

(注)企業型DCの導入時や規約変更時の労使合意においても同様の要件を満たすことが必要です。ただし企業型DC規約にその旨記載することを求める通知は発出されていません。

令和元年(2019年)10月の消費税率引上げに伴う手数料改定

消費税率の引き上げ

令和元年(2019年)10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%(注)に引 き上げられます。

(注)飲食料品および新聞には軽減税率(8%)が適用されます。

確定拠出年金関連取引に対する消費税の課税

確定拠出年金における拠出・運用・給付自体には消費税は課税されませんが、事務手数料「iDeCo・企業型DCに係る手数料と連合会移換(自動移換)」参照)や送料には原則として課税されます(注)
(注)投資信託商品の購入時の手数料や運用中の信託報酬には課税されますが、売却時の信託財産留保額は金融機関に支払う手数料ではない(信託財産に留保される)ため課税されません。

個人型年金規約の改正内容

個人型年金規約に規定されている、国民年金基金連合会が徴収する手数料(注)について、次のとおり改正されます。

iDeCoの加入者または運用指図者となる時  2,777円
⇒ 2,829円
iDeCo掛金の納付時  103円
⇒ 105円
iDeCo掛金の還付(過大納付額の加入者への返金)時 1,029円
⇒1,048円
連合会移換者となる時
「iDeCo・企業型DCに係る手数料と連合会移換(自動移換)」参照)

(注)この他受託金融機関等が徴収する手数料も改定される見込みです(個人型年金規約には金額は記載されていません)。

企業型DCへの影響

企業型DCに係る手数料も改定される見込みです。税込手数料を記載している資料があれば改定が必要となると思われますので委託先金融機関等にご確認ください。