年金改革法と国民年金保険料免除期間中のiDeCo拠出可否

年金改革法の成立

平成28年12月14日に「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立しました厚生労働省サイト「年金改革法(平成28年法律第114号)が成立しました参照)
このページの前半では同法の概要、後半では国民年金保険料免除期間中のiDeCo拠出可否(今回改正)について解説します。

年金改革法の概要

施行日改正内容
平成29年4月

短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進
※ 500人以下の企業も労使合意により短時間労働者への適用を可能に。(下記)

平成30年4月

マクロ経済スライドについて賃金・物価上昇の範囲内で前年度までの未調整分を含めて調整(年金の名目額が前年度を下回らない措置は維持
日本年金機構サイト「マクロ経済スライドのキャリーオーバー制度とは何ですか」参照。

平成31年4月

国民年金第1号被保険者の産前産後期間[出産(予定)日の前月から4か月間]の保険料の免除
※ 免除期間は満額の基礎年金を保障

令和3年4月

 賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を徹底
日本年金機構サイト「年金額の改定ルールの見直し(令和 3 年 4 月~)」参照。

短時間労働者への被用者保険の適用拡大

項目変更前適用拡大対象者(※)
労働時間
(対常時雇用者)
週30時間以上(4分の3以上)週20時間以上
月額賃金8.8万円以上
勤務予定期間1年以上
学生適用除外

※ 平成28年10月施行:501人以上企業等
    平成29年4月施行:500人以下で労使が合意した民間企業
           (国・地方公共団体は規模に関わらず適用)

確定拠出年金法施行令の改正

平成30年8月1日に「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律(注)の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令 」が公布されました。この政令では確定拠出年金法施行令35条が改正され、産前産後(原則として出産予定日の前月から4か月間)の国民年金保険料免除期間は個人型DC(iDeCo)の掛金を拠出できることが示されました。

国民年金の保険料免除期間におけるiDeCoの拠出可否

国民年金保険料の免除理由iDeCo拠出可否
産前産後期間加入(拠出)可




障害基礎年金・被用者障害年金(2級以上)加入(拠出)可
生活保護の生活扶助を受けている加入(拠出)不可
ハンセン病療養所での療養等加入(拠出)可



前年の所得が一定以下加入(拠出)不可
生活扶助以外の一定の扶助
一定以上の障害で一定以下の所得
寡婦で一定以下の所得
天災その他
(部分免除)
学生納付特例
(参考)免除されていない未納期間拠出不可