確定拠出年金の老齢給付金に係る退職所得控除額と退職所得の収入金額の収入すべき時期

【記事公開後の更新情報】

令和3年8月6日に公布された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」45条で所得税法施行令70条が改正され、DCの老齢給付金(一時金)を受給した場合に退職所得控除額の調整が必要となる給付が、その年の前年以前「14年内」から「19年内」となった(令和4年4月施行)ことを反映しました。
(改正内容は赤字で記載)

退職所得控除額の計算式  

確定拠出年金の老齢給付金(一時金)は退職所得控除額が適用される退職所得となります(退職前に規約で定めた60歳以上の年齢に到達して受給する場合を含む)。退職所得控除額は「勤続年数」(1年未満切上)に応じて定まります。この勤続年数は確定拠出年金の場合は加入者期間(掛金が拠出された期間)により定まります。退職金や企業年金から確定拠出年金に資産が移換された場合は、移換元制度の勤続期間(加入期間)も算入されます。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数
(80万円未満なら80万円)
20年超800万円+
70万円×(勤続年数-20年)

 

複数の退職手当等が支給されている場合

同じ年に退職金等と確定拠出年金(一時金)が支給される場合

確定拠出年金の老齢給付金(一時金)が支給された年に、退職金または企業年金等の給付(一時金)等の「退職手当等」が支給された場合、いずれかの退職手当等の基礎となっている期間が、退職所得控除額の算出基礎となる勤続期間となります。退職手当等の額の合計がその退職所得控除額以下であれば課税されません。

確定拠出年金と別の年に退職金等が支給されている場合   

退職手当等が支給された年の前年以前4年内[確定拠出年金の老齢給付金(一時金)が支給された場合はその年の前年以前14年]に退職手当等がある場合、前の退職手当等が退職所得控除額以上であれば、前の退職手当等の勤続期間との重複期間に係る退職所得控除額を退職所得控除額から控除します。
前の退職手当等が退職所得控除額未満であれば、前の退職手当等の金額に応じて短縮した勤続期間を前の勤続期間とみなして、重複期間を計算します。

※19年に変更【令和4年4月施行】 

退職所得の収入金額の収入すべき時期  

 一般的な退職金や企業年金(一時金)

原則として退職手当等の支給の基因となった退職の日の属する年分の所得となります。
年金に代えて支払われる一時金の場合、退職手当等とされるものの給付事由が生じた日となります。ただし、既に当該退職に基因する退職手当等の支払を受けている場合には、最初に支払われた退職手当等の支給期の属する年分の退職手当等となります。

 確定拠出年金の老齢給付金(一時金)

確定拠出年金の老齢給付金(一時金)は給付事由が生じた日が収入すべき日となります。(請求日と支給日で年をまたぎそうな場合等は記録関連運営管理機関(RK)等にご確認ください。)

確定拠出年金の老齢給付金(一時金)請求時期をずらす(同じ年にする)ことによる節税

確定拠出年金の老齢給付金(一時金)が退職所得控除額の枠内に収まらない場合は、請求時期をずらすことで税を軽減できる場合があります。

・他の退職手当等の収入年度と合わせるか否かの調整
 (注)一概にどちらが有利とはいえません(「確定拠出年金の一時金請求時期をずらす(同じ年にする)ことによる退職所得の節税例」参照))。
・他の退職手当等との間隔を14年(4年)超とする調整

※19年に変更【令和4年4月施行】 

(注)収入年度が一意的に定まる方法(例えば老齢給付金を請求できるようになった年度とする等)が採用されなかった理由はわかりませんが、選択の幅は有効に活用しましょう。