令和元年度の確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)の運用利回り(概算)

令和元年度(2019年度)の確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)の運用利回り(概算)
令和元年度(2019年4月~2020年3月)の主要ベンチマークの利回りが判明したことを受け、確定拠出年金の概算利回りを簡易推計したところ、次の結果となりました。
・企業型DC・・・「-3.0%」
・iDeCo(個人型DC)・・・「-2.9%」
運用利回りの推計手法
当サイトでは運用利回りを、①資産構成、②各資産の運用利回り、の組み合わせで推計しています。
企業型DCとiDeCo(個人型DC)の資産構成の推計
企業型DCとiDeCo(個人型DC)の資産構成については、2019年3月末の次の構成比率を用いています。
各資産の運用利回りの推計
国内株式・国内債券・外国株式・外国債券の運用利回りについては、令和元年度(2019年度)の主要ベンチマークの利回りを用いて推計しています。具体的な利回りは企業年金連合会サイト「市場の収益率」の次の数値を用いています(信託報酬は考慮せず)。
運用対象 | 国内株式 | 国内債券 | 外国株式 | 外国債券 |
ベンチマーク | TOPIX配当込 | NOMURA-BPI | MSCI Kokusai | FTSE WGBI |
利回り | -9.50% | -0.18% | -12.42% | 4.37% |
なお、上記以外のの運用商品については、残高が上位と思われる商品の利回りを用いて推計しています。バランス型商品については商品毎の利回りのバラつきが大きいため、乖離が起こりやすくなります。
他の調査結果との比較(企業型DC)
企業型DCの運用利回りの調査結果は、日本経済新聞(https://www.nikkei.com/)や企業年金連合会サイト「確定拠出年金に関する実態調査」でも報告されています。当サイトの推計値が高めになっているのは信託報酬の反映が十分でないことも影響しているものと思われます。
年度 | 28 | 29 | 30 | 元年 | 留意点 |
当サイト推計 | 3.4% | 3.9% | 0.5% | -3.0% | 商品毎の利回りのばらつきや信託報酬の反映が不十分 |
日本経済新聞 | 3.16% | 3.25% | 0.4% | ※2 | 運営管理機関が回答(※1) |
企業年金連合会 | 3.5% | 3.1% | 1.0% | 企業がアンケートに回答 |
※1 株式会社格付投資情報センター(R&I)が大手運営管理機関に調査
※2 -3.53%(国立国会図書館webサイト「株式会社格付投資情報センター「ファンド情報」331号」)
投資教育における留意事項
例えば最近4年度の国内株式の利回りを反映したモデルを作ると、基準価額の推移は∩字型となり、一括拠出だと利益がでるものの年払の積立投資だと損失となります。
逆に基準価額の推移がU字型となる期間を選んでシミュレーションを実施した場合には、積立投資やドルコスト平均法が有利に見えやすくなります。
例えば投資教育の委託機関や資料提供機関がU字型の期間のみを選んでシミュレーションを実施し、積立投資やドルコスト平均法のメリットを強調している場合には注意が必要かもしれません(逆に∩字型の期間のみを選ぶ金融機関等はあまりないのではないでしょうか)。