社会保障審議会企業年金・個人年金部会の開催(第7回まで)

※ ここでは部会開催決定の経緯や想定された検討課題について記載しています。具体的な検討内容は第8回部会以降と重複するためそちらにまとめました(「「社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理」における令和2年度DC改正案と併せて検討すべき課題」参照。

社会保障審議会企業年金・個人年金部会について

平成31年2月22日から社会保障審議会企業年金・個人年金部会(企業年金部会が改称)が継続的に開催されています厚生労働省サイト「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」参照)。前回の確定拠出年金法改正(平成28年公布)で施行後5年をめどに見直すと規定されたことから、今回の審議内容は2020年頃に国会に提出される確定拠出年金法改正案に反映され、2021年~2023年頃に施行されるものと思われます。

検討が見込まれる事項

具体的には次の事項等について改正が検討されるものと思われます。

① 社会保障審議会企業年金部会(平成26・27年)におけるイコールフッティング等の継続検討課題(当ページ最下部参照)
② 規制改革実施計画(平成30年6月15日)で閣議決定された60歳以降の加入要件緩和等
 (「平成30年規制改革実施計画における確定拠出年金関連計画(閣議決定)」参照)
 ※ 令和元年の
成長戦略フォローアップ(「骨太方針2019や成長戦略実行計画等の閣議決定」参照)によれば65歳超への緩和も検討課題になるかもしれません。
③ 第19回税制調査会(平成30年10月23日)で提言された「穴埋め型」等
 (「老後の資産形成についての議論(第19回税制調査会)」参照)
 (「穴埋め型(全国民共通の非課税貯蓄枠)の引退後所得保障制度」参照)
④ 特別法人税の凍結期限(2020年3月末)後の取扱い
 「特別法人税率の根拠と問題点」参照)
⑤ 当部会における関係団体へのヒアリングで要望された改正
 厚生労働省サイト第4回部会資料「ヒアリング等における主な意見」参照)
  ※ 当サイト「関係団体の確定拠出年金制度改正要望」ともほぼ重なる内容です。  

 

開催状況

(注)資料・議事録は厚生労働省サイト「社会保障審議会(企業年金・個人年金部会)」参照。

テーマ 開催日
企業年金・個人年金制度の現状等について(☆) 2019年2月22日
関係団体からのヒアリング(労使団体等) 2019年3月19日
関係団体からのヒアリング(金融機関) 2019年3月29日
(ヒヤリング等における主な意見の整理及び)
拠出時・給付時の仕組みについて
2019年4月22日
企業年金の普及・拡大について 2019年5月17日
企業年金のガバナンス等について 2019年7月24日
マッチング拠出、iDeCo等について 2019年8月23日

☆ 2000万円問題(金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の公表)で注目された” 高齢夫婦無職世帯の実収入と実支出との差は月5.5万円程度”は厚生労働省サイト「第1回社会保障審議会企業年金・個人年金部会」資料1の32ページにも記載されています。

前回法改正を受けての関係団体の要望について

関係団体の要望はこれまで提出していたものが中心ですが、平成29年1月または平成30年5月に施行された法改正内容「平成30年5月施行の確定拠出年金法等の改正」参照)に基づく要望も含まれています。いくつか気になるテーマについて記載しておきます。

iDeCoの加入対象者の拡大

平成29年1月の法改正でiDeCoの加入対象者が拡大されました。しかし企業型DCの加入者のうち、①企業型DC規約でマッチング拠出が可能とされているため法令上iDeCoへの拠出が認められない場合や、②法令上は可能だが規約上iDeCoへの拠出を認める規約変更を行っていない場合(おそらく会社側の意向による場合が多いと推測されます)があります。今回はこれらの者にもiDeCoへの拠出を認めるよう要望されています。

⇒ 加入者の拠出を促すという点では望ましいと言えますが、マッチング拠出とのバランスを欠く状況は適切ではないでしょう(「関係団体の確定拠出年金制度改正要望」参照)。将来的には企業型と個人型の枠組を見直し、「企業型DC加入者が自ら拠出できる額は〇円(拠出限度額ー事業主掛金額)で、その額は企業型の口座で運用しても個人型の口座を開設して運用しても良い」という姿が好ましいような気がします。

中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)の人数要件緩和

平成30年5月に創設された中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)の人数要件撤廃、即ち規模の大きい企業でもiDeCoに会社が掛金を拠出できるようにしたいという要望を事業主団体(経団連)が提出しています。

⇒ 労使双方が掛金を拠出できる制度としては既にマッチング拠出があるため、中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)のどういった点に事業主が魅力を感じているのかがわかれば、企業型DCの制度改善にもつながりそうです。両制度には次のような違いがあります。

 ① 投資教育義務(年々強化されている)や運営管理機関の評価義務等から解放される。
 ② 加入者が会社拠出よりも多く拠出できる。
 ③ 拠出選択者と非拠出選択者の不当差別要件(「等価」要件)がない。
 ④ 職種による不当差別要件が緩い?(対象外職種への代替措置が規定されていない。)
 ⑤  運営管理手数料等の会社負担がないことが一般的。

①については負担に見合う魅力が企業型DCにあるかどうかが問題でしょう。②は先ほど記載したとおりです(「関係団体の確定拠出年金制度改正要望」参照)。③の選択制の制度についてはDC掛金の額と非拠出選択者への代替措置の額が同額でなくても、従業員間で公平な取り扱いであれば原則として不当差別はないものとして扱うべきでしょう。④はDC独自の問題ではなく、労働条件の不当差別解消の動きの中で判断されるべきでしょう。⑤は企業型DCでも手数料を労使いずれが負担するかは労使で協議すれば良い(会社負担が避けられない固定費があるかどうかといった実務の詳細は知りませんが)ため、(ほとんどの制度で企業が負担している点を気にしなければ)企業型を採用しない直接的な理由とはなり難いのではないでしょうか。

社会保障審議会企業年金部会における継続検討課題

社会保障審議会企業年金部会では、次の課題について引き続き検討が必要とされました厚生労働省サイト「社会保障審議会企業年金部会における議論の整理」(平成27年1月20日)より抜粋)

企業年金制度等における拠出時・給付時の仕組みのあり方

事務局からの提案は、全体として、外部積立の退職金としての性格が強いDBを「年金」に近づける一方で、貯蓄性を排除する等制約の多いDCについては「退職金」としての役割を担う現状も踏まえ、例えば中途引き出しについては一定の条件の下で認めるといった、より使いやすい制度にするというものであった。また、給付方法については、企業年金制度があくまで「年金」制度であるという原点を踏まえ、一時金ではなく複数年での受給を促す措置を講ずるべきという提案であった。この事務局の提案については、将来の方向性としては理解できるものの、企業年金(特にDB)が現に退職金として活用され、従業員の退職後の生活にとってかかせないものになっているという現状を踏まえれば、早急な制度改革はむしろ制度の普及・拡大を阻害し従業員の老後生活に 支障を来しかねないという意見が多く出された。こうした議論を踏まえ、企業年金の拠出時・給付時の仕組みのあり方については、今後引き続き議論を重ねていく必要があるとされた。

企業年金制度等に関する税制のあり方  

積立金に対する特別法人税は早期に撤廃するべきである。また、その際には、企業年金制度等の課税関係についても、拠出時・運用時・給付時全体の課税のあり方の議論を併せて行うべきである。加えて、給付時の課税関係については、退職所得控除など退職一時金税制との関係を踏まえつつ、給付方法(一時金・年金)によって公平性が損なわれることのないような制度設計を検討する必要がある。