「平成30年版厚生労働白書」の公表

令和元年7月9日に厚生労働省は「平成30年版厚生労働白書」厚生労働省サイト「「平成30年版厚生労働白書」を公表します参照)を公表しました。テーマは次の2つです。

【第1部】障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に
【第2部】現下の政策課題への対応(子育て、雇用、年金、医療・介護など)

 
年金制度については第2部で取り上げられ同サイト同白書第2部第5章「若者も高齢者も安心できる年金制度の確立」参照)、最近の取組報告や今後の検討の方向性(既に法律で示されている内容)等について記載されました。

公的年金制度

「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」(平成28年12月26日公布)の検討規定にもあるとおり、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(平成25年12月13日公布)において課題として規定された、次の事項について検討していく必要があるとされました。

① マクロ経済スライドの見直し
② 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大(※1)
③ 高齢期の就労と年金受給の在り方(※2)
④ 高所得者の年金給付の見直し(※3)

 
今後は2019年の財政検証「2019年財政検証結果の公表(社会保障審議会年金部会)」参照)を踏まえ、次期制度改正に向けた検討を社会保障審議会年金部会等で行っていくこととしています。

※1 「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(平成24年8月22日公布)において2019年9月末までに検討を行うこととされています。
※2 「高齢社会対策大綱」(平成30年2月16日閣議決定)において70歳以降の受給開始も選択可能とするなどの検討を行うほか在職老齢年金の在り方についても検討を行うこととされました。 
※3 「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」第6条第2項第4号では「高所得者の年金給付の在り方及び公的年金等控除を含めた年金課税の在り方の見直し」とされていました。

私的年金制度

白書では「少子高齢化の進展、産業構造の変化、ライフコースの多様化等の社会経済情勢が変化する中で、私的年金はますます重要性を増しており、私的年金の加入率の向上を図るため、今まで以上に利用しやすい確定拠出年金制度や確定給付企業年金制度の整備に向けた取組みを進めている」「高齢期に向けた個人の継続的な自助努力の支援に取り組んでいくこととしている」としています。

⇒ 私的年金たる確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)の記載は最近の取組報告が中心で、今後の具体的な検討事項の記載はありませんでした。2020年3月末は特別法人税(「特別法人税率の根拠と問題点」参照)の凍結期限であり、与党税制改正大綱からはこれを見直す場合は年金課税全体の見直しが行われるものと思われましたが、上記※3の下線部が白書に記載されなかったことが気になります。老後生活に向けた自助努力のあり方については様々な意見がありますが、企業年金の制度改善に向けた検討が鈍化しないことが期待されます。