関係団体の確定拠出年金制度改正要望

関係団体の確定拠出年金制度改正要望(概要)

確定拠出年金の法令上の規制に対し、企業年金実施事業主団体(企業年金連合会、企業年金連絡協議会等)や金融機関団体(全国銀行協会、信託協会等)、経団連等多くの団体がほぼ毎年、また連合も適宜制度改正要望を提出しています。
具体的には、例えば以下のような要望がなされています。
詳しくは各団体のサイトに掲載されている他、主なものは社会保障審議会「社会保障審議会企業年金・個人年金部会(旧企業年金部会)の開催」参照)等でも報告されています。

1.特別法人税の撤廃
 (「特別法人税率の根拠と問題点」参照)

2.中途引き出し要件の緩和
 ①60歳未満の者
  a.事情によるもの(経済困窮、退職、海外帰国等)
  b.課税によるもの(ペナルティタックス等)
 ②60歳以上で通算加入者等期間が10年未満の者(老齢給付金要件の緩和要望)

3.60歳~65歳までの拠出

4.企業型DC加入者の個人型DC(iDeCo)加入規制の緩和

5.拠出限度額引き上げ「拠出限度額見直しの方法と低所得者支援効果」参照)
 a.拠出限度額(1カ月あたり)の引き上げ
 b.過年度の拠出限度額の未使用枠の繰越し
 c.企業年金実施状況等による抑制の見直し
 d.事業主掛金を超えるマッチング拠出(下記)

6.中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)の人数要件撤廃(緩和)

7.ポータビリティー拡充や年金給付専用口座(日本版IRA)(下記)

8.手続きの簡素化(iDeCoの事業主関連事務等)

 

事業主掛金を超えるマッチング拠出の要望

マッチング拠出額の要件(現行)

企業型DCにおいて、事業主掛金に上乗せで加入者が掛金(企業型年金加入者掛金)を企業型DCに拠出することをマッチング拠出といいます。
法令上、マッチング拠出額は事業主掛金以下とする必要があります。このため事業主掛金が少額の場合、法令上認められる最高額までマッチング拠出を行ったとしても、「事業主掛金+マッチング拠出額」は拠出限度額を大きく下回ることになります。

事業主掛金を超えるマッチング拠出の検討状況

このため平成26年の企業年金部会(厚生労働省サイト「社会保障審議会(企業年金部会)」参照)でも様々な団体が事業主掛金を超えるマッチング拠出を認めるよう要望しており、自民党の日本再生ビジョンでも賛成する意見が出されましたが、結果的に実現しませんでした。これは部会でも出された「企業年金の性格にもとづき、事業主拠出分を超えない範囲を維持すべき」という意見に配慮したのかもしれません。

その後も掛金を追加拠出する余力のない状況が続いている中小企業が多いように思われます。このため労使合意があれば事業主掛金を超えるマッチング拠出を認めたほうが、従業員にとって好ましいケースも少なくないと思われます。平成31年(令和元年)の企業年金・個人年金部会厚生労働省サイト「社会保障審議会(企業年金・個人年金部会)」でも様々な団体が事業主掛金を超えるマッチング拠出を認めるよう要望しましたが、やはり実現しませんでした。

類似制度における事業主掛金超過可否  

中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)

個人型DC(iDeCo)の中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)では、事業主拠出額は加入者拠出額よりも少なくても認められます。

企業型DCと個人型DC(iDeCo)の同時加入

個人型DC(iDeCo)との同時加入を認めている企業型DCでも、事業主拠出額は加入者拠出額よりも少なくても認められます。

マッチング拠出の代替としての個人型DC拠出額要件の緩和

企業型DCにおいて加入者が拠出する制度としては、企業型DCに拠出するマッチング拠出以外に個人型DCに同時加入して拠出する制度があります。しかし記事によると、運営管理手数料は企業型DC(マッチングあり)だと企業型DCのみの1制度分ですが、企業型個人型同時加入だと企業型DCと個人型DC(iDeCo)の2制度分必要になるようです。この場合、マッチング拠出でなく個人型同時加入を選択すると、せっかく加入者が拠出した額の一部が個人型DC(iDeCo)の手数料となり、マッチング拠出であれば老後資金に充てられた額が失われることになりそうです。

事業主掛金超過要件を廃止した場合の実務負荷

マッチング拠出額について、事業主掛金との比較や事業主掛金超過時の加入者への通知や金額修正等がなくなると、(切替時の一時的な作業は必要ですが)切替後は企業の負荷も軽減されると見込まれます。

ポータビリティーの拡充や年金給付専用口座(日本版IRA)創設の要望

確定拠出年金への移換要望(例)

・厚生年金基金や確定給付企業年金を解散(終了)した時の残余財産の移換
 [特に個人型DC(iDeCo)へのポータビリティー]

・退職時の中小企業退職金共済(中退共)の給付の移換
 (注)合併等のない中小企業が従業員全体の資産を移換することも要望されています。

・退職時の特定退職金共済(特退共)の給付の移換

・退職時の退職金の移換
 (注)既存のDCへの移換の他、年金給付専用口座(日本版IRA)への移換も要望されています。

確定拠出年金からの移換要望(例)

・企業型DCの加入者資格喪失者の個人別管理資産の企業年金連合会への移換
 (注)企業年金連合会への掛金拠出を認めることも併せて要望されています。